「ステップ2:過去問の分析」で、自身が勉強すべきジャンルの絞りこみができたと思います。
1)ステップ3:設問Ⅱを得点源にする
では、次に、同じジャンルのものを整理して、各ジャンルで何を問われたのかを整理します。
こちらも、建設部門・都市及び地方計画をサンプルにどのように整理するかを示します。
改めて、私の場合は、ステップ2で以下のように絞りこむことができました。
設問ごとに確認します。
【設問Ⅱ-1】
設問Ⅱ-1の場合、網掛けのものを本番で選択したであろうと思います。
これを、同類のジャンルで分けると以下のようになります。
①良好な景観形成(H25、30)
②都市交通(H27、30)
③エリアマネジメント(H26、28)
④都市公園/官民連携(H29)
⑤都市公園/防災機能(H28)
⑥都市緑地法(H26)
⑦緑地・緑化/緑の保全等(H25、H27)
⑧住民参加(H29)
実務の経験から、試験用に回答例を用意していなくてもこれは解けそうだなと思って選んでいるものもありますが、もっと勉強するジャンルを絞りたいという場合であれば、「建築物の規制・誘導」については、よく出題されている項目なので、回答例を用意して勉強しておくというのも作戦的にはありだと思います。
私の場合は、法律の制度等を覚えるよりも、意義や役割などを自分の言葉で記述するほうが得意なので、このような絞り込みになりました。
ここで、同ジャンルのものを整理すると、8項目ほどになりました。ここで問われた制度・役割については、自分で整理し、試験までに覚えるようにしましょう。
【設問Ⅱ-2】
続いて、設問Ⅱ-2についてもみていきます。
私は、平成26年度に受験していますが、当時、過去問題をみていて、「歴まち法」について出題されていないので、26年度は出題されるかもしれないなと思っていたら、やっぱり出題されました。
また、実務で、「緑の基本計画」の見直しを行ったこともありますし、景観・防災については、実務でかかわることがあるので、なんとかなりそうかなと思いますが、改めて選択するであろう問題をジャンルで分類すると、
・景観計画/歴史まちづくり(H26、28)
・防災関連(H27、29)
・緑とオープンスペース(H30)
・中心市街地活性化計画(H25)
となります。
この中で、景観計画についてとりあげ問題文をみてみましょう。
H28年度 設問Ⅱ-2-1
歴史的街並みを有する地方都市において、地域活性化に資する魅力ある景観の形成を図るため、景観計画を策定することになった。
あなたが担当責任者として計画の策定を行うに当たり、以下の内容について記述せよ。
(1)景観計画を策定してまちづくりを推進することの意義
(2)計画策定の手順とその具体的内容
(3)計画策定を進める際に留意すべき事項
このように、設問Ⅱ-2については、具体的に「実務でのその業務の意義、手順、留意点」についてまとめる問題となっています。
ほかの科目でしたら、工法、調査等についての出題となっています。
これを踏まえて、上記に関する法律・制度等で気になるものは整理しておきます。
また、この中で一番なじみのないのが、平成25年度です。
平成25年度の中心市街地活性化計画については、回答例を用意しておきます。
私の場合は、このようになりますが、選択するであろう問題をジャンルでわけて、課題や役割・効果を整理しておきます。
2) 設問Ⅱ-2は問題文をよく読むこと
設問Ⅱ-2は、問題文の細かなフレーズも読み落とさないように注意してください。
例えば、先ほど紹介した景観計画の場合
H28年度 設問Ⅱ-2-1
歴史的街並みを有する地方都市において、地域活性化に資する魅力ある景観の形成を図るため、景観計画を策定することになった。
あなたが担当責任者として計画の策定を行うに当たり、以下の内容について記述せよ。
(1)景観計画を策定してまちづくりを推進することの意義
(2)計画策定の手順とその具体的内容
(3)計画策定を進める際に留意すべき事項
問題文で、「地方都市」と指定されていますが、ほかに、「地域活性化に資する」とも記載されています。
これにより、歴史的街並みの保護や活用により、地域活性化につなげられるような施策等を計画に反映することが考えられます。
題意に沿った回答案の作成が、こういった記述式試験では重要となりますので、問題文の読み落としがないように注意してください。
3)設問Ⅱを得点源にする理由
設問Ⅱは過去問から出題傾向を把握し、しっかりと対策をたて、確実に得点をかせげるようにしましょう。
設問Ⅱは、筆記試験の中で最も勉強量が得点につながりやすい設問です。
なぜ、設問Ⅱを得点源にするかというと、筆記試験の合否決定基準をみてみましょう。
最新の平成29年度の合否決定基準は以下のようになっています。
【平成29年度合否決定基準】
選択科目 | 「選択科目」に関する専門知識及び応用能力 | 60%以上の得点 |
「選択科目」に関する課題解決能力 |
上段が設問Ⅱ、下段が設問Ⅲを示しています。なお、得点は、設問Ⅱ、設問Ⅲが40点となっています。
具体的にどのように採点されるかという、筆記試験の合格通知では、記述式試験はA・B・Cの3段階評価となります。
A:60%以上
B:60%未満40%以上
C:40%未満
例えば、以下のような場合、筆記試験合格となります。
科目 | 選択科目 | |
設問Ⅱ | 設問Ⅲ | |
成績 | A | B |
A |
設問Ⅲで、60%をきったが、設問Ⅱで60%以上をとっており、設問Ⅱ・Ⅲの合計で60%をクリアできれば合格できます。
これが、設問ⅡもⅢもBだった場合、合計Bになり、筆記試験は選択科目で不合格となります。
このため、設問Ⅱでは、得点を稼いでおくにこしたことはないので、しっかり対策を立てるようにしましょう。
4)しかし、設問Ⅲを攻略しなければ合格の道は開かず
先ほど、設問Ⅱを得点源として、しっかり対策を立てましょう!
とお伝えした通りですが、しかしこの試験を合格するには、設問Ⅲを攻略する必要があります。
その理由は、配点にあります。
平成31年度以降、設問Ⅱは、30点、設問Ⅲは30点となります。
設問Ⅱは、設問Ⅱ-1で2問解答、Ⅱ-2で1問解答と合計3問ありますが、
設問Ⅲは、1問です。1問で、配点が30点となっていますので、この1問で失敗すると挽回が難しくなります。
というわけで、まずこのステップ3までを早い時期に目途をたてて、残りの試験までの時間は、設問Ⅲで合格できる論文をかける力をつけることに集中していくべきです。
なお、平成31年度以降、設問Ⅰも記述式となり、配点が40点となっています。
出題のテーマが、設問Ⅲが選択科目を対象にしているのに対し、設問Ⅰは技術部門と異なりますが、合格論文を書くために必要な力は共通したものと考えています。
このため、設問Ⅲの勉強を通じて、まずは、合格できる論文の書き方を習得することにひとまず集中することをおすすめします。
次のステップ4からは、主に設問Ⅲで合格レベルの論文を書くための対策についてお伝えしていきます。